RI会長メッセージ

2021-2022年度
国際ロータリー会長 シェカール・メータ
Calcutta-Mahanagarロータリークラブ所属(インド 西ベンガル州)

略歴

会計士であり、自身が設立した不動産開発会社「Skyline Group」の会長。カナダを本拠とする「Operation Eyesight Universal(India)」のディレクター。

災害救援に熱心に携わり、シェルターボックス(英国)の管理委員も務める。2004年のインド洋大津波の際には、被災した家族のために500戸近い家屋の建築を支援。

南アジアで1,500件以上の心臓外科手術を提供したプログラムを立ち上げる。インド全土での識字率向上をはかる「TEACHプログラム」の創設にもかかわり、このプログラムを通じて何千もの学校に支援を提供。

1984年にロータリークラブ入会。RI理事、各種委員会の委員と委員長、ゾーンコーディネーター、研修リーダー、ロータリー財団専門家グループメンバー、地区ガバナーを歴任。ロータリー財団(インド)の理事長も務める。

超我の奉仕賞、ロータリー財団功労表彰状と特別功労賞を受賞。

ラシ夫人と共にメジャードナー、遺贈友の会会員としてロータリー財団を支援。


挨拶

 ナマステ。皆さんは、奉仕とリーダーシップの旅路において、とても大切な一歩を踏み出します。これからの17カ月間は、皆さんの人生で最も素晴らしく、実りあるときとなるでしょう。この期間を、人生で最も充実したときとすることができます。この期間には、私たちが共有するロータリーのビジョンに導かれながら、大きな夢に向かってくださるようお願いします。皆さんは、計画を立て、目標を定め、その目標を達成するようインスピレーションし、やる気を引き出します。その目標とは、会員を増やしてロータリーの参加者基盤を広げるという目標、そして、世界に奉仕してより大きなインパクトをもたらすという目標です。この旅路において、皆さんは、地区のローターアクターと目標を分ちあい、「もっと行動し、もっと成長する」ための役割を担います。これは、私たちを導く信念です。「もっと行動し」とは、より大きく、インパクトをもたらす奉仕プロジェクトを意味します。「もっと成長する」とは、会員を増やし、参加者基盤を広げることを意味します。

 会員増強は引き続き、最も大きな課題です。過去17年以上、ロータリーの会員数は120万人のまま横ばいとなっています。力を合わせて、これからの17カ月間でこれを変えようではありませんか。会員増強という点で、今、ロータリー史上最大の変革をもたらす機会が訪れています。過去17年間にロータリーが達成できなかったことを、今後17カ月間に達成することにチャレンジしてください。

 そんな夢は大きすぎる、とおっしゃるかもしれません。「夢は大きく」と私からお願いするのであれば、私自身が先頭に立たなければなりません。私がインスピレーションを受けた言葉の一つに、ジョージ・バーナード・ショーの次の言葉があります。「存在するものだけを見て、『なぜそうなのか』と考える人もいる。しかし私は、いまだかつて存在しないものを夢見て、『なぜそうでないのか』と考える」ですから皆さん、夢は、2022年7月1日までに会員数を130万人に増やすことです。この信じられないような目標をどのように達成できるでしょうか。その答えは、「each one, bring one」、つまり、今後17カ月間に各ロータリアンが新会員一人を入会させるようお願いすることです。皆さんがすべきことは、17カ月間にたった一人を入会させるようお願いするだけです。皆さんご自身が模範を示し、またクラブ会長にも模範を示してもらうことで、これを確実にできます。全クラブのロータリアンがこれを実行すれば、そのそれぞれが「変革者」となり、新たにロータリアンとなる人の人生を永遠に変えることになるのです。

 私たちは、「もっと行動する」ために「もっと成長する」必要があります。私は常に、「超我の奉仕」というロータリーの標語に大きな感銘を受けてきました。この言葉は、人びとを思いやり、分かち合うことの大切さを教えてくれました。私にとって奉仕とは、自分よりもほかの人のことを先に考えることです。これについて、ロータリーでの私自身の体験をご紹介したいと思います。

 ロータリークラブに入会したばかりの頃、手足が不自由な人のためのキャンプをクラブが実施しました。クラブはそこで、足の矯正具や義肢、ハンドサイクルを配布しました。全会員が役割を分担し、私の担当は、ハンドサイクルを受け取る人が、手で車輪をこぐ力があるかどうかを確認することでした。手を引っ張ってもらい、相手の力を測るのです。私は、担当場所に立ち、ハンドサイクルを受け取りに来る人を待っていました。すると、ある人が地を這って私に近づいてきました。その人は足がなく、這うことしかできなかったのです。私は彼に向かって手を差し出しましたが、その瞬間、正直なところ、私の頭にあったのはその人のことではなく、自分のことでした。自分の清潔さや健康について考えたのです。彼の手を握りたくありませんでした。しかし、彼の手を握り、その後もやって来る人2、3人の手を握りながら、自分のことだけを考えていました。しかし、6、7人目の後に突然、この人たちが抱える苦境に共感し、彼らの痛みと困難を感じ、自分よりも彼らのことを考えるようになったのです。その瞬間、私は、単なるロータリークラブ会員から、ロータリアンになったのです。

 その後間もなく、もっと多くのプロジェクトに参加するようになりました。35年前、ロータリアンとして初めてインドの僻村に足を運んだとき、同胞たちが抱える苦境を真に理解しました。彼らの家にはトイレがなく、水浴びをするのと同じ池の水を飲み、一本の樹の木陰を学校として使い、唯一の黒板は黒いペンキを塗った壁でした。一番近い保健センターは数マイル先で、ごく基本的な設備しかありません。私たちは、ロータリークラブを通じて、トイレを設置し、安全な飲み水を提供し、教育システムを改善し、世界級の医療設備を整えました。しかも、地元地域だけでなく、国中で。

 ロータリーが私の心に火をつけました。自分の身の回りを超えたところに目を向け、人類全体を考えるようになりました。奉仕が私の生き方となったのです。多くの方々と同じように、“奉仕とは、自分がこの地上に占める空間に対して支払う家賃である”という信条を持つようになりました。模範的な賃借人でありたいと思っています。皆さんも、それぞれが奉仕の機会を見出されたことでしょう。目の不自由な人に見る力を与え、お腹を空かせた人に食べ物を与え、ホームレスの人に住む場所を提供した方もおられるでしょう。これらは、小さな奉仕の機会だったかもしれませんし、大規模なプロジェクトだったかもしれません。奉仕を定義するのは、奉仕の規模だけでなく、奉仕に対する姿勢です。

ガンディーはかつて、電車に乗ろうとしたときに、電車が動きだして片方のスリッパを落としてしまいました。ガンディーはとっさに、スリッパが落ちたところをめがけて、もう片方のスリッパを投げました。彼と一緒に旅行していた友人は、こう尋ねました。「なぜ投げたんだい?」。ガンディーはこう答えました。「あのスリッパを誰かが見つけるだろう。片方だけでは役に立たたないから、もう片方も投げたのだよ」。これはささやかな奉仕の行為ですが、その姿勢は見事だと思います。私たちは、自分よりも先に人のことを考える心構えがあるでしょうか。ロータリアンである私たちにとって大切なのは、それだけです。

 ロータリアンが過去35年間にポリオ根絶や人類への奉仕のために数十億ドルもの資金や多大なボランティア時間を費やしてきた理由に、それ以外のことがあるでしょうか。何千という学校や何百という病院を整え、干上がった村に水を提供し、家庭にトイレをつくって尊厳を取り戻し、何万という子どもの心臓手術を通じて命という贈り物をしてきた理由に、それ以外のことがあるでしょうか。ロータリアンが奉仕し続けるのは、人びとの人生を豊かにしたいという願いからです。ネパールでのあるプロジェクトでは、数千人もの人生がより豊かになり、アフリカでの家族保健プログラムと、ハイチでの水プロジェクトでは、それぞれ一千万人以上の人生がより豊かになりました。私の母国インドでは、識字と教育のT-E-A-C-Hプログラムで、何百万もの子どもの人生にインパクトを与えました。

皆さんの多くが、このような奉仕プロジェクトで大切な役割を担われ、人びとの人生をより豊かにしてきたでしょう。奉仕のニーズがあるからこそ、皆さんは奉仕してこられたのです。今日、奉仕のニーズはさらに高まり、明白になっています。ですから、来るロータリー年度には、人びとのために奉仕し、その人生をより豊かにするために援助していただけるよう、切にお願いいたします。この理由から、2021-22年度の私たちのテーマは、「奉仕しよう みんなの人生を豊かにするために」(Serve to Change Lives)といたします。

 皆さんご自身が模範を示し、持続的なインパクトをもたらすプロジェクトへのロータリアンとローターアクターの参加意欲を引き出してください。ほかのロータリアンや、他団体、企業と手を取り合い、地域社会にインパクトをもたらすプロジェクト、国や世界の人びとの人生を豊かにするプロジェクトを実施してください。ロータリアンとローターアクターに与えたインスピレーションのおかげで、会員による奉仕を通じて世界が前よりもっとよくなったと感じるはずです。

 奉仕するとき、誰かの人生だけでなく、自分の人生も豊かになります。インドの偉大な思想家の一人であるヴィヴェーカーナンダは、こう言いました。「誰かを助けるとき、その人に恩を施していると考えないでください。実際には、その人たちがあなたに恩を施しているのです。私たちが世界から授かった恩恵への恩返しをする機会を与えてくれているのです」。ヴィヴェーカーナンダはさらに、次のような見事な言葉を加えました。「人生では、与える者、奉仕する者になりなさい。ただし、与えるときも奉仕するときも謙虚になり、ひざまずいて『与えさせていただけますか』『奉仕させていただけますか』とお願いする気持ちになりなさい」

 ほかの人のために生き、世話をし、奉仕することで誰かの人生を豊かにすることは、自分の人生の最高の生き方です。アルバート・アインシュタインが言ったように、「誰かのために生きてこそ、人生には価値がある」のです。

 奉仕イニシアチブに取りかかるにあたり、次年度の焦点は「女子のエンパワメント」となります。ロータリーの中核的価値観の一つは「多様性」です。ロータリーのDEI(多様性、公平さ、開放性)に対する信念を表した公式声明もあります。多くの場合、女子は不利な立場に置かれることが多く、私たちが女子のエンパワメントに取り組むことが重要です。ロータリーはすべての子どもに奉仕しますが、特に「女子」に焦点を当てます。世界各地で女子は多くの問題に直面しており、リーダーである皆さんは、こうした女子が抱える問題にロータリーが取り組み、それを和らげるように導くことができます。

「もっと行動し、もっと成長する」ための会長イニシアチブが計画されています。世界各地で、7つの重点分野に焦点を当てた7回の会長主催会議が開催されます。

 また、すべてのロータリークラブとローターアクトクラブが、ロータリアンとローターアクター、そして一般市民の参加を促すための「ロータリー奉仕デー」を実施することができます。ご自宅に最も近い場所で開催される会長主催会議にご参加いただくとともに、「ロータリー奉仕デー」に参加するよう全クラブに呼びかけてください。ローターアクターとインターアクターにも参加してもらいましょう。ロータリークラブによる何千もの「ロータリー奉仕デー」を通じて、ロータリーの活動を世界に紹介しようではありませんか。

 変革者であるガバナーの皆さん、ポリオ根絶活動、新型コロナウイルスとの闘い、大きなインパクトをもたらすプロジェクトに取り組み、かつ会員数を史上初めて130万人にするという課題は、チャレンジに満ちています。このチャレンジに、皆さんの意欲は駆り立てられるでしょう。挑戦に立ち向かうのがロータリアンだからです。船は港にいれば安全ですが、船の目的は港にいることではありません。海に出てこそ、船の目的が成就されます。変革者の皆さん、人生とは冒険であり、メンテナンスではありません。

 最後に、テーマについて私が書いた詩をご紹介したいと思います。

授けられた最大の贈り物は

誰かの人生に触れる力

変える力

違いをもたらす力

めぐりゆく命の中で

手を、心を、魂を

差し伸べるなら

魔法が起こる

歯車が回りだす…

ともに歯車を回そう

全人類の繁栄のために

私たちには力と魔法がある

奉仕しよう… みんなの人生を豊かにするために…

 皆さんがどこでこの演説をお聞きになっていても、ここで皆さんに、胸に手を当て、私と一緒に宣誓していただきたいと思います。

  「私たちには、奉仕し、みんなの人生を豊かにする力と魔法があります」

 変革者の皆さん、準備は整っていますか?大きなチャレンジに立ち向かう準備ができていますか?奉仕する準備ができていますか?みんなの人生を豊かにする準備ができていますか?

 私は準備ができています。皆さんも同じでしょう。ともに奉仕し、みんなの人生を豊かにしていこうではありませんか。